住まいづくりは生涯のお付き合い①
家がないと帰らない 妻がわがままをいう
自動車メーカーのデザインをしていて、定年前に広島へ転勤になった。元々広島がふるさとだから、一緒に帰ろうと言ったのだが「家がないとダメ!」と妻が言うものだから、あわてて家を探しはじめた。
マンションも考えたけどやはり日本人だから庭付きの戸建てがいい。妻と一緒に設計したけど、三日三激論の末やっと計画ができた。苦労した甲斐があって満足している。この家はしっかりしている。二十年経っても歪みや隙間がない。
内装材などはけちったけど、構造がしっかりしている。家は見栄えも大切だけど基盤と骨組みだよね。お風呂をリフォームしたときびっくりした。新築したときと同じ。湿気が多い土地なのに、まったく腐食していない。床も高いし湿気がこもらないんだよね。
自暮らしを楽しんでいる 不便はリフォームで解消
琴のお稽古をする和室とリビングとキッチンがつながっているところが、もっとも気に入っている。キッチンが孤立していると料理も手抜きするようになるし、お客さまとも楽しめないのよね。不意のときはちゃんとガスレンジを隠せるように主人が工夫してくれているから慌てない。
リフォームしたお風呂は快適よ。工事前はストーブをたいても寒かったのにね。この辺は雪が多くて寒いのよ。浴槽は省エネを考えて小さくしてもらった。暖かいし、お湯が冷めないし、つるつるして掃除もしやすい。年を取ると寒い風呂がいちばん危険だからね。
最初はシャワーで暖めておいて、浴槽に浸かったら窓を開けて雪を見る。露天風呂感覚でどうしてもお風呂にいる時間が長くなってしまう。魔法瓶浴槽っていい名前をつけたね。ほんとうにその通り。寒い冬でも追い焚きはそれほど必要ないから嬉しい。
二人とも多彩な趣味で暮らしを豊かにしている
六年くらい前から絵を描いている。グラフィックデザイナーだったこともあるけど、妻に何か趣味を持てといわれて始めた。本当は陶芸がしたかったけど、結構お金が掛かるしね。
私が絵を習いにいってて主人がデッサンをみるのよね。「これひどいんじゃない」でがっくり。結局二ヶ月でやめたけど、主人は素養があるから上手なのよ。水彩画を描いてもほんとうに上手よ。私は三味線。
壁に絵をいっぱい掛けているでしょ。あれは飾っているのではない。これは反省ボード。毎日見るでしょ。食事しながらも見てあれこれ考える。勉強になるよ。工房も作ったし、妻も私もアマチュア芸術家。ふところは寂しいけど、心はいつもリッチだよ。
リフォームは信用一番 トラブルはイヤ!
新築してから十回くらいリフォームしてもらったかな。ライフスタイルが変わるからね。お風呂のほかにトイレ、ベランダ、石垣、塀、屋根、外壁など。暮らしのコストだね。
家のなかの仕事が多いし担当者の人柄と会社の信用があれば安心。トラブルが一番怖い。値段が高いとか安いとかではなくて信用。そのために値切りはしないけど、ちゃんと希望を叶えてくれる。気に入っている。
家は高価な買物よ。洋服のように気に入らないからすぐ買い替えるという訳にはいかない。広島に帰って家を建てようと思ったとき、妹が推薦してくれたのよ。「家をたてるなら、絶対マルコシよ!」
住まいには安心できる主治医が欠かせない
何でもすぐ頼めるからね。家のことは何でもおまかせよ。セールスが来ても「決めているところがある」と断れるしね。
ぼくはね。江原くんに頼んでいるんだ。江原くんも変り者だけどぼくも変り者だから気が合うんだ。ぼくが死ぬまで辞めないでほしいね。頼むよ。
マルコシに行ったとき岡元さんが江原くんに「恋人がいらっしゃったよ」と言ったので振り向いたらお客さん。そういう人がいっぱいいるんだな。工事中も職人さんとよくしゃべったけど、江原さんのことを気に入っていたよ。とてもいい子だって。あれから十六年、あの頃はかわいかったね。近所の人も江原さん、江原さんと大変だったんだから。
掃除小僧というイメージが強い。ほくが気に入ったのはその辺かな。何だかんだと言っても人間性よ。安心感が一番。地震のときもすぐ来てもらったし、家のことはまったく心配していない。
次に建てる家も決めているんだ。目下、構想中だけど秘中の秘。また頼むよ。
ぼくは入社以来
新井本様ご夫婦に育てていただいたようなもの。
感謝でいっぱいです。
江原 文男