友情と絆をテーマのカフェMランド

コンセプトは友情と絆

平成二十二年七月八日午前十時、福屋デパートの西向かいに『カフェ・Mラド』が誕生した。オープンに先立って小河二郎会長が本通り商店街に第一声を放たれた。「広島と山陰を結ぶ強い拠点になるよう努力したい!」。古武士さながらの柔和な笑顔にホッと…。山陰の小京都・益田市に本拠を置く滞在型自動車教習所『益田ドライビングスクール (MDS) 』が広島の目抜き通りにカフェをオープンする計画があり、設計を依頼された。注文主の要望は「友情と絆」 を表現してほしい、ただそれだけ。

感謝の気持ちを伝えるサンキューレター

「友情と絆」が本通りを楽しむ人たちに伝わればいい、その他はプロに任せる。小河さんのことばに戸惑った。設計者にとっては細かい注文があるほど、仕事がやりやすい。MDSは儲け主義の企業とは次元を異にしていると直感。すぐさま現場を見ることにした。

MDSは二十万平方メートルの盆地をフル活用し、年間六千人もの免許取得者を出発させている。敷地内の「無心山」に登れば、全体像が把握できる。施設内の掲示板で目にできる「サンキューレター」、感動した。閃いた。カタチに捉われず色で表現すると決めた。

文字のない斬新なアートディスプレー

サンキューレターは感謝の気持ちを文字に表したもの。ゲスト (教習生) 、インストラクター(教官)ほかすべての人が、 「優しい心」 「温かい心」を伝え合う。まるで血液のようなものだと受けとめた。全国から人 (色) が集まり、重なり合って絆(混色) になる。
コンセプトの象徴としてディスプレーは、百八十色の柄を組み合わせ「絆」と「友情」を表現した。道行く人たちに意図が伝わると嬉しい。一見、色彩としては派手さを感じるが、自己主張の文字を控えた謙虚さが奥床しい。LED電球は、省エネ時代に相応しい。

インテリアの基調は黒と白

本通りを歩くと思わず足を止めて広い店内が外から見渡せるようフルオープンにした。しっとりと落ち着いたユニフォームのスタッフがよく見える。自家製のパンたちも笑顔で迎えてくれる。ゆったりと会話が楽しめるようインテリアは黒と白をベースにした。

不規則にあしらった赤が生きて、リズミカルな雰囲気を醸し出す。中二階のイベントホールに誘う階段はやわらかい曲線で「思いやり」を示す。爪先立てば木の香が漂う自然空間が見える。人工芝をあしらった庭で琴の演奏会なども開かれ、幽玄の世界が広がる。

岡本太郎画伯に出会える

二階スペースは白と黒の雰囲気に包まれ、岡本画伯の絵に出会える。オーナー秘蔵の「歓喜」がさりげなくゲストをもてなす。奥のテーブルに座り視線を落とすと金座街の賑わいが望め、中国地方最大の都市・広島のお洒落が凝縮して飽きない。時間を忘れるスペースだ。

プライバシーをそこなうことなく、来店されるお客さまがすべてそこはかとなく温かさや思いやりでつながる。究極は街の光景まで結ばれる。イベントスペースの一隅は、唯一、MDSのささやかなCMコーナー。山陽・広島と山陰・益田の絆が、カフェ・Mランドで太くなれば、設計者冥利に尽きるというものだ。

カフェ・Mランドへどうぞ

オーナーの「友情と絆」の注文に戸惑いながら、プランニング、デザインから施工管理までたずさわった。隅々までねじ一本おろそかにしないでこだわった。

面倒なことも苦にせずできたのは、全てオーナーの人柄による。ポジティブにチャレンジされる八十七歳に感謝でいっぱい。教えられることばかり。全幅の信頼と理解で作品が完成した。

カフェ・Mランドの魅力は、文字や写真では伝えきれない。ぜひ本通りに足を運んで、素晴らしさを実感してほしい。

(登田恵吾)

担当者コメント

「カフェ・Mランド」はオープン以来、おかげさまでお客さまが溢れています。手作りパンやソフトドリンクは味がよいと評判。お客さまのもてなしも「ここまでやるか」と感動を呼んでいる。住宅リフォーム専門のわが社にとっては、失敗の許されない挑戦でした。
オーナーの理解、設計者やスタッフの協力、昼夜を分かたぬ職人らの懸命な取り組み、本通り商店街の皆さんの寛容など、多くの方々のおかげで成功しました。
オープンした七月八日の感激を忘れないで毎月「八」日を「本通り清掃の日」と決めました。続けます。ありがとうございました。

木原 淳

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