平成29年2月22日(№7252) 高齢者に甘い年金システム

高齢者に甘い年金システム

年金制度の改革はなかなか進まないが、昨年末、年金支給額を抑える新ルールを盛り込んだ改正年金法案が可決した。民進党など野党はこの法案が成立すると今の高齢者の支給額が減るとして「年金カット法案」と謳い反対した。安倍首相は「現役世代の負担能力に応じて給付を行う仕組み」と国会で答弁し。この答弁は正しい。年金負担の世代が減っている。

 

年金が「高齢で収入が落ちたときの生活を支える保険」なら高収入の人は基礎年金が不要になる。高所得者の基礎年金を減らし、低年金者の対策などに充てる案。じつは2012年に協議されたのだが、時の政権にいた民主と自民、公明の3党協議で関連法案から落ちた。自民党の担当者は「保険の根幹が崩れる。所得格差は税制で調整すべきだと考えたようだ。

 

もし実現していたらどうだろうか。例えば年収600万円から基礎年金を減らし始め、年収1千万円超は全員半額をカットする。基礎年金を貰える人のうち年収600万円超は40人に1人。この場合2千億円近い財源が出る。それなりの低年金対策が出来る。これは高齢者の世代間支え合いだ。そんな姿が見えれば年金に不信を持つ若い人が、保険料に理解を示す。

 

年金を貰う高齢者は自分の若い頃に既に年金保険料払ったのだからと思いがちだが、あいにくわが国の公的年金制度は自分の老後のために保険料を払う積立方式ではない。今の年金給付は主に今の若い人たちの現役世代が支払った保険料で賄われる「子から親への仕送り方式」に近い。少子化になったり賃金が上がらなければ、間もなく火の車になるはずだ。

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