平成25年4月3日(No5949) 「そうじ」の社会的価値
投稿日:2013.04.03
「そうじ」の社会的価値
13年ほど前バングラデシュを訪問したとき、幸運にも後にノーベル平和賞を受賞した銀行家ムハマド・ユヌス氏の謦咳に接する機会を得た。ュヌス氏は「金融機関が相手にしない貧困層を経済的に支援すること通じて、彼ら1人ひとりが生活 の向上を追及できる社会つくる」ことを目的とし、その実現のために「マイクロクレジット」の仕組みを作り上げた。
そしてグラミン銀行を立ち上げ目的を達成した。ユノス氏が売上や利益だけを考える人だったら、このような社会企業家にもなれず、いわんやバングラデシュの貧困層の生活向上にならずノーベル平和賞とは無縁だったに違いない。社会的価値と経済的価値を同時に実現するのが新しい企業モデルとも言える。それは企業規模の大小を問わず社会が求める現象だ。
ユノス氏に出会った翌年、西京銀行の大橋節雄頭取とご縁があった。大橋さんは採算の取れない零細企業を支援し、その取り組み姿勢が社会的評価を受けて業績を伸ばした。その翌年に親子農業体験塾をスタートした。大橋さんは「あなたの考えていることは直接利益につながらないが、続ければ多くのファンが生まれ、必ず業績は向上する」と激励してくれた。
そのときにご縁のあったM・ランドの小河会長は「道徳のない経済は犯罪であり、経済のない道徳は寝言である」と持論で激励された。企業は目線の高い目的を掲げて活動すべきであり、事業計画や経営計画もその目的に添って立てるべきだと教わった。「ひたすら まちを 美しく」と願ったささやかな目的が、どのように働く人の幸せにつながるのか。期して待つこと大である。せっかくの「そうじ」が生きて欲しい。