平成25年10月5日(No6134)   権限委譲の効果

権限委譲の効果

かつてジェルコの中心的な存在として活動していた頃、経営に対する考え方をセミナーなどで発表する機会があった。プロパンガスの販売からリフォームに参入し、当時としては斬新なビジネス手法で上昇していたきで得意の時代だった。先輩に賢者がいてボロクソに叩かれた。「ワンマン経営は会社を滅ぼす。権限の委譲を行って社員の能力を存分に活用せよ」。

 

カチンと来たがもっともな話。社員に肩書きを付けていたが、何一つ仕事を任せることはなかった。取引先の担当者から見ると奇異な感じがしただろう。肩書きこそ営業部長だったが、何一つ自分で決められない。軽んじられるのも無理はないし、当人が意欲を持てるはずもない。それぞれ得手不得手はあるが、させてみなければその能力すら見えない。

 

思い切って販社との取引権限を与えた。簡単ではなかったが結果としては成功した。納まらないのはこちらの胸の内。誰もが権限を持つ人のほうを向く。社長でありながら口を出せないもどかしさ。ストレスが溜まり、面白くなかった。しかし、その社員は伸び伸び働くようになり、結果として業績は向上した。分かりやすく言えば、エンジンが2馬力になった。

 

口出しをしないから社員に戸惑いはなく、現場での混乱も減った。そして社長の本来業務である「未来の利益獲得」について勉強することが出来た。経営計画に沿って方針を示す。そしてそれぞれに権限を委譲する。①任せ切る、②関心を持ち続ける(放任ではない)。③まさかのときは責任を持つ。この3項目は船井総研の経営コンサルタント学校で学んだ。

 

社長が端々のことまで口を出すと現場は混乱し、社員は指示待ち人間になり、やる気を失う。モチベーションアップには権限の委譲が最適の道だと思う。もちろん見極めは必要だ。

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