平成24年4月15日(No5596) 母の三回忌
母の三回忌
母は平成22年4月27日、94歳だった。大きな患いもなく文字通りの大往生。時々ショートスティのお世話にはなったが、老人ホームなど無縁だった。今年は三回忌に当たる。最近はホテルや葬祭場などに親族が集り法要を営むケースが多くなった。わが家ではふるさとの檀那寺に親族が集うが、四十九日、一周忌、三回忌と進むにつれ有縁は少なくなった。
浄土真宗では次いで七回忌、十三回忌、三十三回忌、五十回忌と続くが、親族を含めて高齢だから、集るのは今回が最後となりそうだ。次は己が彼岸にいるかもしれない。昔から墓を守るのは長男の役割と決められていたが、現代では通用しそうにない。よほど祖先を敬う気持ちが強くなければ、相当の費用と手間が掛かる「墓守」は務められないだろう。
最近は合墓が多くなり、以降は法名を刻んで祀る。現実問題として祖先の霊を弔い、在りし日を偲ぶといった風習は廃れつつある。過疎化が進み集落が消滅していく中で、祖先を祀る墓地も同様の運命をたどっている。墓標を立てて名を刻み子孫に伝える風習も少なくなった。祖先を祀り、敬う生き方は遺しておきたいが、残念ながら過去になりつつある。
これまで祖父母、母方の祖父母、父母、戦時中に夭折した弟の墓を建ててきたが、わが夫婦からは合墓とし、その建立で最後としたい。数年前、約60坪の墓地を造り、山の上から祖先に降りてらった。太陽の光が降り注ぐ石塔群は、祖先を偲ぶに十分である。最後の墓を立てて周囲に植樹して東屋を建て、庭園風に整えて旅立ちたいと心に決めている。