平成24年4月17日(No5598) 商品を売らない
商品を売らない
わが家の近くにあるゴルフ練習場のオーナーである「ゴルフショップ・ダイナマイト」は、ゴルフ不況に喘ぐ同業者らを尻目に売り上げを伸ばし続けている。福山地区に5店目をオープンしたのが寄与して、年商20億円の大台を突破、広島地区のNo1に躍り出た。社長の山田一夫さんは旧知の間柄で、ゴルフに熱中していたころ親しく付き合っていただいた。
経済誌のインタビューに応えて「好決算が上げられた最大の要因は、「商品を売ることよりも、ゴルフファンを育てる戦略が実を結んだ」と語った。それを支えたのは経営資本を本業に集中したから、と言葉を添えた。メインバンクの広島市信用組合が、11期も連続して増収増益を上げているのは同様の理由による。旧友の正しい企業戦略に拍手を贈りたい。
ファンを育て、結果として増収増益を得たというニュースは、同様の路線を進んでいるわが社にとっても希望の灯りとなる。最近は掃除活動に共感したから、フォーラム新聞を読んで共鳴したから、というリフォーム相談の初期動機が語られるのも、その瑞祥ではないかと推察される。最近寄せられる読者便りの内容は、ファン層が厚くなりつつあると感じる。
現実問題として売上がないと不安だし、売りに走りたい衝動に駆られる。しかし、消費者に一度嫌われたら、二度と戻ってこない。売り込みに走った途端に、お客様は腰を引く。ホームページでも売り込みオンリーだとアクセス数は減少する。一旦離れたら二度と帰ってこない。お客様の共感を得られてこそ、新しいファンは増える。厳しいが遣り甲斐はある。