平成26年9月18日(No6482) 友が逝く
友が逝く
30年前の友が逝った。91歳。広島に一家で出てきて50年にもなるが、もっともよく働いた時期、もっとも辛い時期に家族ぐるみのお付き合いをしてもらった。自動車の販売店を経営しており、友人の紹介でトラックを売ってもらった。年が離れているのに何故か気が合ってよく遊んだ。よく働いてお金もないのに豪快に遊んだ記憶がある。碁とボーリング。
振り返ってみればどうしてあのような華麗な日々が過ごせたのか不思議でならない。年齢に大差があったが遠慮ない対等の付き合いだった。趣味は初段程度の囲碁。時にはホテルに泊まり込みで打ったことがある。料亭の座敷で風呂に入りながら、終日碁打ちに興じた日もあった。時間はともかく遊ぶ金はどうやって算段したのか、まったく記憶から消えている。
当時ブームだったボーリングにも興じた。どこかのクラブに所属した訳でもない。対外試合に出た訳でもない。マイボールやユニフォームにもこだわらない。何が面白かったのか、ともかく朝から晩まで二人で球を転がし、足腰が立たなくなった日もあった。豪快で愉快な人だった。あるとき払い下げの土地を買えという。今の本社の敷地である。格安だった。
10年間売買禁止の土地だったが口約束で当時としては大金を支払った。10年後、3倍に高騰した土地を約束通り登記してくれた。家族ぐるみで別府へドライブ旅行を楽しんだこともある。30年前、何の理由か分からないが付き合いを終えた。葬儀に参列して分かったことだが、その頃民謡協会を創立し、功労があって広島市民文化功労章を受章したと紹介された。
よほど慕われていたのであろう。多くの年老いた男女が涙で見送った。奥さんも高齢だと思うが30年前の笑顔だった。