平成27年8月8日(№6806) 一票の格差
一票の格差
7月28日、選挙区の定数を「10増10減」する改正公職選挙法が、自民党、維新の党、次世代の党の賛成多数で可決され、成立した。これはかねてから裁判所に指摘されていた参院選の一票の格差を是正するための改革である。一票の格差とは何か。要は一人の議員に対する有権者総数の数が同じ程度でなければ不平等だという意見である。果たしてそうか。
しかし国政選挙でさえ、半数の有権者が棄権する状況で一票の重みが違うと言われてもピンと来ない。かねてから身を切る改革と言われ続けながら「10増10減」では身を切ったことにならない。人口の少ない地方の議員を減らし、人口の集まっている都会の議員を増やしたところで国の政治が良くなるとも思えない。参議院に242人もの議員が必要なのか。
来年夏の参院選から島根県、鳥取県が、また高知県と徳島県が一つの選挙区となり、参議院のいない県が生まれる。新潟、宮城、長野では二人ずつ選んでいたが、一人だけを選ぶ選挙区になる。地方の議員を減らせということは、都会の議員を増やせということになる。人口の少ない地方としては納得のいきかねるところだ。個々の事情を探ってみると実に面白い。
選挙事情に関係のない議員が圧倒的に多く、排除される議員は少ない。だから言い分は通らない。細かく分析してみると地方の1人区は自民党に有利であり、都会の中選挙区は大政党に有利となった。4年後にはさらなる改革が求められるが、議員定数減とはならないだろう。法律を決める議員はいずれも自分が可愛い。自分に不利な法律には賛成できない。
間接民主主義のもとでは、私たち有権者は議員を選ぶことしか出来ない。それが唯一の国民の権利だ。価値ある一票に。