平成23年7月31日(No5337) ヒロシマからの発信
ヒロシマからの発信
まったく終わりの見えない福島第一原発の事故だが、多くの人が「他人事ではない」と心配している。「日本を美しくする会」では鍵山秀三郎さんの呼び掛けで、多くの仲間が現地でボランティア活動に懸命だ。世界で始めて放射能の惨事を体験した広島からは、残念ながら参加者がないと聞く。「他人事ではないが、自分のことでない」と割り切っている?
リフォームの顧客である阿部真人・雅子夫妻が、原爆児童文学作品をまとめた『原爆を伝える子どもの文学「広島からの発信」』を出版された。目の不自由な夫の口述を妻が清書して完成させた。偉大なる労作である。阿部さんは多くの作品を読みながら、悲しさだけではなく、人間のもつ健気さ、強さを感じたという。山野幸恵社員に紹介されて一冊求めた。
B5版547㌻の大作である。書棚に立てるまでもなく「人生講座」のメンバーから貸し出しの希望があった。原爆の被災都市でありながら、福島の原発事故に 無関心層の多いことは事実である。阿部さんは「原爆児童文学は亡くなった人への鎮魂歌であり、生き延びた人への応援歌でもある」という。一人でも多くの人がこの本を読んでほしいと願っている。
「原爆の体験者は亡くなりつつある。誰かが8月6日の込められた思いを後世につないでほしい」とも。80歳と73歳のカップルは次の世代に偉大な贈り物をした。着手から16年間、並大抵の苦労ではなかったと思うが、多くの困難を乗り越えた成果は大きい。もうすぐ原爆祈りの日。あらためて原爆と向き合い、福島原発事故へも強い思いを届けてほしい。