忘れてはならない私たちの矜持
平成31年4月
元号が変わるということで年の瀬でもないのになんだかソワソワ、わくわくしている昨今ですが、今年は消費税増税もひかえ、浮かれてばかりはいられない感じです。
少し前のお話ではありますが、大手アパート建設業者が施主の指摘により施工不良が発覚。大きな社会問題となり、いまだ入居者は引っ越しもままならず解決には至ってない状況です。入居者の引っ越しが無事済んでも、大家さんの不信は消えることはないでしょう。
これらの問題ある建物は、一括借り上げの物件が多く、建築業者と借り上げ業者が同じところに大きな問題があるのだと思います。借り上げる部門は建築費のコストダウンを強く要請していきます。そして一括借り上げの先を見越して少しでも利益を残す設定に、建築側は要請に従い大々的なコストカットをして利益を追求するというシナリオです。結局、置き去りにされているのは建物の価値に合わない膨大な借金を背負わされる施主ということになるのです。
もちろん企業は利益を追求すべきであることは否定しません。ただ、根幹にあるべきものは、良いモノづくりであり、お客様も入居される人も安心で幸せであるということです。
このことを忘れ、自社や自分だけが得をすればよいという考え方がひずみを生み、確信犯的な手抜きに至ると思います。利益を残すためには壁を薄くし性能を下げる、火事の際延焼を食い止めるべき『界壁』を見えないからと言って無くしてしまうなど、これは一種の犯罪といっても言い過ぎではありません。今回は不審に思ったオーナーが自主的に外部の設計事務所に依頼して発覚しました。火事が起こって界壁がないばかりにアパート全焼、多数の死者や負傷者が出て発覚という最悪のケースは避けられたのです。
しかしこの偽装は単に手抜き工事や施工不良という問題ではありません。わからなかった、忘れていたなどという単純なミスではないのです。自分たちだけよければいい、わが社だけ儲かればいいという自己中心的な考えが会社にはびこって当たり前のように常態化していたのだと思います。
私たちも同じ建築という業種でありリフォームや不動産仲介をさせていただいております。このことを他人ごとと思わず反面教師として学んでいかなくてはなりません。
私の会社のキャッチフレーズは「安心創造企業」です。お客様と真摯に向き合い、一つ一つの案件に誠意をもってあたらねばと気を引き締めて、新しい年号となる年を邁進していこうと決意しました。