平成24年3月30日(No5580) パックリフォーム①
パックリフォーム①
フォーラム新聞・161号(4/1発行)が刷り上った。一面には焼き直しではあるが、かつて書いた「台所のはなし」を加筆訂正して掲載した。二面のお住まい拝見・63はインタビューから書き起こし、お客様に加筆いただいた記事である。20年前に設計した現場だけに懐かしかった。手掛けた工事ではベストテンに入る佳作だと自負している。
この記事で伝えたいことは、小見出しで理解してもらえる構成にしている。①リフォーム(実際にはリノベーション)したいと暮らしながら考えていた。②注文する側の熱意が満足度を左右する。③細かなところまでとことんこだわった。④暮らしの彩りに灯りは欠かせない。⑤主治医がいると住まいも安心できる。特に②を強調したかった。満足度はお客様次第。
実は最近のリフォームは「パックリフォーム」が大流行している。もともと昔からある「一式いくら」方式だ。商品や施工のレベルが価格に盛り込まれているから、自由度の範囲が極めて狭い。パック旅行と同じで面倒はない。問題なのはせっかくのリフォームに、お客様の意思がほとんど反映されない。車を購入するのとは違う。買い替えが効かないからだ。
たとえば数百万のお金を掛けてキッチンのリフォームをしたとき、気に入らなくても10年単位のお付き合いが必要だ。「パック」は価格が分かりやすいと歓迎されているが、「コミでいくら」だから明確であろうはずがない。価格が一定なら施主がわがままを通すか、業者がそれを封じ込めるか、一種の戦いである。そこから好ましい共同作業は生まれない。