平成25年6月9日(No6016) 日常の五心
日常の五心
曹洞宗の開祖道元禅師の箴言は数多く伝えられている。その多くは弟子との問答などをまとめた「正法眼蔵随聞記」読むといいと教えられた。残念ながらまだ読んだことはない。禅師は「世に唱道の人多けれど、行道を人少なし」と嘆かれたそうな。8百年前の鎌倉時代も今も変わらず、同じ嘆き節が聞えてくる。政治家も学者も大学の先生も似たようなもの。
口先だけで偉そうに並べても、机上の屁理屈は何の役にも立たない。何事もやってみればいい。行動の中でしか道が開けないと教えられる。鍵山秀三郎さんから講演などで何度も聞かされた。道元禅師の言葉ではないが、小河二郎さんから「道徳のない経済は犯罪であり、経済を伴わない道徳は寝言である」と教わった。どちらも心に残っており、道標にしている。
曹洞宗には五つの誓願の言葉がある。①「はい」という素直な心。②「すみません」という反省の心。③「私がします」という奉仕の心。④「おかげさまで」という謙虚な心。⑤「ありがとう」という感謝の心。日常生活でこの言葉を心に誓い、願いながら生きていきなさいという教え。この五つの言葉が生かされれば、どんなややこしい人間関係も穏やかになる。
しかし、現実のビジネスにおいても、素直でない人、反省のない人、動かない人、傲慢な人、感謝しない人が圧倒的に多い。それが荒んだ世の中をつくり、人間関係をいびつにしている。社内のコミュニケーションをよくするには、どれ一つ欠けても円満に行かない。トラブルが起きても「申し訳ございません」は、お客の心に「冷静になる」スイッチを入れる。
「日常の五心」は毎日声を出して使いたい言葉である。朝礼や掃除の前などに唱和すると、大切さが理解できると思う。