平成25年8月28日(No6096) プロの屈辱
プロの屈辱
滅多にテレビを見る機会はないが、日曜日の夜は整体治療の日で10数年振りにボクシングの実況中継を見た。スーパーミドル級・東洋太平洋チャンピオンの柴田明雄とロンドン五輪の金メダリスト村田諒太の6回戦である。ノンタイトル戦が日本タイトルより優遇されたのにびっくりしたが、それだけ日本のボクシング界は人材が払底しているのだろう。
「どちらが勝つと思う?」との妻の問い掛けに、「下手な小細工がなければチャンピオンが勝つに決まっている。だからといって金メダリストを叩きのめす訳にはいかない」。オリンピックで金メダルを取ったといってもアマチュアの世界、プロが負けるはずはないと解説した。試合が始まっておかしいなと思った。柴田の動きがぎこちない。村田は実にスムースだ。
初回の後半、いきなり強烈な右ストレートでダウンを奪った。二回にはサンドバッグ状態でボゴボゴに打たれた。レフェリーストップのTKO勝ちした。もともと柴田はフットワークとスピードが売り物。重量級とはいえもたもたはみっともない。あえなく金の拳? の前に吹っ飛んだ。吹っ飛んだのはチャンピオンだけではない。東洋太平洋タイトルの値打ちも…。
柴田は昨年6月、日本スーパーウェルター級チャンピオンに、今年5月には東洋太平洋ミドル級チャンピオンになったばかり。これではチャンピオンベルトの威厳は保てない。この程度の選手がチャンピオンではボクシングの人気は凋落するばかり。金メダリストの村田にケチをつける訳ではないが、もう少し強い選手と戦わねば己の値打ちも計りかねるだろう。
「何も出来ないまま終わった。差を感じた試合。TKOも仕方がない」と肩を落とすチャンピオン。再び王者としてリングに上がってはプロボクシングが泣く。消えるしか道はない。