平成25年10月15日(No6144) 「成人力」で世界一?
「成人力」で世界一?
経済開発協力機構(OECD)がおこなった成人の能力測定の調査結果、日本の「成人力」は突出して世界一と評価された。調査項目は①読解力、②数値思考力、③ITを活用した問題解決能力。③に問題を残したが、①と②では断然トップ。何となくイメージとそぐわないような気もするが、素直に受け止めて喜びたい。大人のうちでも成績がよかったのは中高年。
調査は対象者を中卒、高卒、大卒に大別して行われたが、日本の特徴は中卒がダントツ、高卒も優秀、しかし、大卒は?内容を分析すると問題はいくつかある。[並]が多く「低」は少ない。ところが「高」の割合が極端に少ない。世界の平均値の四分の一程度。他の国は優秀者も多いが「低」が圧倒的に多い。だから平均値が下がる。日本は「並」でトップに。
日本の教育は平均的には高いが、突出した能力を持つ人が少ない。エリートを育てるよりも落ちこぼれなくすことを大切にした結果ではないか。社会も会社も同じだが、先頭に立って引っ張るのはエリートだ。「高」レベルの人材育成を急がなければ、世界から取り残される。現実にそうなっている。日本の政治家が小粒になった要因もそのあたりにありそうだ。
会社の前を通ると社員が元気な挨拶をしてくれる。社員の礼儀正さと交わすあいさつが日本人の徳を実感させてくれる。こうした人々がこれまでの日本を支えてきたとジャーナリストの櫻井よしこさんはOECDの調査結果から読み取る。日本人という民族が、どんな価値観を社会の根幹に据えて歴史を紡いできたかを知って、初めて正しく判断できるとも言う。
立派な日本人を育てるには歴史教育が欠かせない。判断力も指導力もその上で成り立っている。人として優れた人間が確かな能力を身につけて先頭に立つとき、国も企業も伸びる。