平成25年11月7日(No6167) 消え行く「農家」「農村」「農業」
消え行く「農家」「農村」「農業」
40年以上続いてきた減反(米の生産調整)の制度が見直される方針が決まった。減反政策が見直されると、減反補助金を当てにしている農家は収入が減る。もともと仕事をしなければ補助金がもらえる産業振興策は不自然である。TPP交渉の参加が決定し、コメをはじめ「聖域」の関税死守は危うくなっている。農業に深く関わっている農協は反対に必死だ。
米の補助金制度には膨大な税金を注いできたが、農家の足腰は弱まり、衰退し、耕作放棄地は増え続けた。政府の無策の証である。補助金をばらまけば一票につながり、そのお陰で自分を地位を保ってきた族議員の責任は大きい。大半の中山間地域では高齢者が年金と補助金で稲作に汗を流すのが当たり前の光景に。農業に展望がないと後継者も現れまい。
高齢者が手放した農地を耕す人もない。そうなれば農村は生活の場にはなりえない。国土や景観の保全、水源涵養の機能はどうするのか。米を消費する人たちのメリットは失われる。所得と労力の確保に問題はあるが、とりあえず水田が維持できる政策が求められる。水田が蘇ってこそ「農家」であり、集落が構成され「農村」があり「農業」のカタチができる。
現実にはコメを作っていては暮せない。竹の子学園では10㌃の田んぼで稲作をしている。今年の生産量は600㌔だった。販売したとしても総収入は農協価格で12万円、1㌶で120万円でしかない。耕作費、苗代、肥料代など差し引けば売上より経費が上回る。これでは「農業」は成り立たない。
ほんとうに[農家]「農村」「農業」を再生したいと思うなら根本的な政策転換が必要だ。わがふるさとでは自家用コメと野菜だけ作る超高齢者夫婦ばかり。これらをどう救うのか…。