平成23年12月15日(No5474) 泥鰌首相の憂鬱
泥鰌首相の憂鬱
野田佳彦新首相の誕生を受けて開かれた臨時国会が、12月9日、会期延長もなく予定通り閉会した。東日本大震災からの復旧・復興の予算、それに伴う関連法案は成立したが、首相が忸怩たる思いがしたという重要法案は、すべて先送りになった。与野党はどっちもどっち、党利党略の駆け引きに終始し、立法と言う国会本来の役割はほとんど果たせなかった。
野田首相は消費税の増税も沖縄問題も「不退転の覚悟で取り組む」と大見得を切ったが、内政も外交も何一つ前に進みそうにない。不適格と指摘された一川保夫防衛相と山岡賢次消費者担当相・国家公安委員長は、参議院で問責決議が可決された。野田首相は両人を適格であると擁護し、辞任を求める野党を撥ね付けた。何か成算があるのかなあ?
国家公務員の給与を引き下げて復興財源に充てる法案も、議員定数削減も見送られた。おかげで公務員のボーナスは満額支給され、一部返上していた議員歳費も復活した。わが身を削らないで国民への増税だけは不退転の決意で望むと述べられても空しく響くだけ。大震災の惨事に直面しながら、国会はさまざまな場面で機能せず。政治の劣化を見せ付けた。
松下政経塾一期生の首相として期待したが、なにか深謀遠慮があるのだろうか。国民が喝采するような秘策を持っているのだろうか。野党体質に堕落した自民党に正論は通じず、一月からの通常国会は泥仕合が繰り返されそうだ。小沢グループへの慮りもみっともない。それでも蛮勇を待つのは日本国に後がないからだ。年末年始、国民の政治への関心は薄れる。