平成23年12月16日(No5475)  金婚式の旅

金婚式の旅

昭和36年12月14日、降りしきる雪に覆われたふるさとの小学校で結婚式を上げた。当時は普通の24歳と23歳の若いカップルが誕生した。農村には石油ストーブもガスもない時代で寒かった。冷酒としめ鯖、それにつまみとおにぎりというつましい披露宴だった。それでも草深い田舎に国会議員をはじめ100名を超える祝い客が来てくださった。

 

毎年12月14日は節目の日として、ささやかなイベントを続けてきた。格安の北海道ツアーや日帰りのバスツアーが中心だったが、大きな節目の50周年は外国旅行を考えていた。実は海外の観光旅行の経験は一度もない。新婚旅行は近場の二泊三日だったし、海外の旅はすべて発展途上国のボランティア活動。せめてデラックスなヨーロッパの旅を夢見ていた。

 

しかし、寄る年波には勝てない。体力は衰え、面倒な手続きは本能が拒否する。台湾縦断旅行、新幹線のグリーン車を利用する日本縦断、北陸の名湯巡り、皇居&靖国詣で、伊豆の金目鯛巡りなど候補に上がったが、結局、二泊三日の四国ドライブの旅に決まった。高松、徳島を経て高知で一泊、四国山脈を縦断して北上、奥道後に一泊、フェリーで広島に帰る。

 

高知では「はまじ」に記念の揮毫をお願いする。朝市巡りは妻の希望。許される時間内でお遍路のお寺にお参りする。奥道後では露天風呂のある部屋に泊まる。かねてから妻の強い願いだった。やはり旅は体力、気力がないと心が沸き立たない。50年の感謝としては余りにもつましすぎるが、時間の余裕がまったくない。三日間は現世を離れる積もりで過ごす。

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