平成30年1月11日(№7535) 老衰死が医療を変える
老衰死が医療を変える
国全体の医療費は30年前の1985年は16兆円だったが、昨年は44兆円にまで膨張した。この先、高齢化が進む限り急速に増えて負担感が重くなる。この期間人口は横ばいだったため、医療費は2,5倍に膨れたことになる。増加分の半分は高齢化の影響だが、残りの半分は医療技術の進歩によるコストの上昇らしい。国内生産は1,6倍のため財政を圧迫する。
新聞のニュースによると「老衰死」が増えるほど、医療・介護の適正化にもつながるという。「老衰死」のトップは神奈川県茅ケ崎市(人口20万人以上の都市)で全国平均の2,1倍になる。市はかかりつけ医、看護師、介護士など多職種が集まる研修を強化。一人暮らしや老々介護の高齢者の情報を交換し、かかりつけ医のいない高齢者が少ない。医療費も少ない。
身体が衰えても自宅で最期を迎えたいという高齢者が増えている」。これは全国的な傾向だが、それには「24時間態勢の往診から在宅の看取りまで対応する診療所はトップ」という茅ケ崎市の市政が必要だ。残念だがわが広島市には、「市政だより」を見ても市長も議員もその種の発言はない。老衰の細かい規定はないが、ほぼ75歳以上の後期高齢者が該当する。
茅ヶ崎市ではがんと脳梗塞が全国平均より1割低く、心筋梗塞も3~4割低い。75歳以上の一人あたりの医療費は、4年間平均で全国平均より14万円も低い。全国1740の市区町村が茅ケ崎市と同じ医療ならば、国全体で2兆3千億円の医療費が減る計算になる。老衰死を分析すれば医療費の伸びが抑えられ、介護費も増加しない。むやみに増税するよりいい。