平成26年7月10日(No6412) 土用の丑の日
土用の丑の日
7月29日は土用の丑の日だが、ここ数年続いた稚魚の不漁で価格が高騰し、うなぎにご縁がなかった。今年は漁獲高が回復し、価格も昨年よりは安くなりそうだ。土用の丑の日にうなぎをたべないと夏が乗り越えられないと思っている人は多い。うなぎ好きの方には申し訳ないが、日本うなぎは絶滅の恐れがあり「レッドリスト」に指定された。さあ困った。
うなぎ消費大国の日本に対する世界の視線は、マグロと同様に厳しくなっている。昨年は不漁、一転今年は回復、そして絶滅の危機。一体うなぎの世界に何が起こっているのか。東アジア全体に生息するニホンウナギ、欧州全域に生息するヨーロッパウナギ。日本人が食べる二大ウナギが絶滅の危機にあるというから穏やかではない。なぜ追い詰められたのか。
ニホンウナギは産卵期になると川をくだり、マリアナ諸島の海嶺に向かう。海で生まれた稚魚はシラスと呼ばれ、初冬から春先にかけて川へ遡上してくる。漁師はそれを獲り、養殖業者に販売する。そこで育ったウナギが人間の口に入る。要はシラス次第。昨年秋から獲れすぎ状態が続き、今年は相場も安く庶民の口に届くようになった。嬉しいことではあるが。
絶滅の危機に陥った原因は環境汚染や気候の変化だという説もあるが、とんでもない。最大の要因は日本人の食べ過ぎである。もともと高級食材としての位置付けが長く、日常の食卓に上がるようになったのは養殖技術が進歩したからだ。いずれにしてもウナギは貴重品になりつつある。「ウナギを食べるのは特別な日」という食生活が身に付けば何とかなる。
昔のように高級食材に回帰すれば、資源確保と食文化を両立させる現実的な知恵が生まれる。わが家はウナギを食べない。