平成29年3月4日(№7262) 高齢ドライバー&認知症
高齢ドライバー&認知症
昨年の10月、集団登校していた児童の列に軽トラックが突っ込み、小学生ら7人が死傷した事故で、自動車運転処罰法で逮捕された88歳の男性について横浜地検は処分保留のまま釈放した。報道によると男性には認知症の疑いがあるが、これまで運転を止めるよう家族に注意されたこともなく、認知症の通院歴もなかった。不起訴処分を視野に捜査を行う。
事故が不起訴になる可能性が高まり、事故を起こした運転者に責任が問えないのはおかしいという異論が有る。近代刑法の大原則「責任なければ刑罰なし」は、亡くなった小学生や家族に申し訳ない。「たとえ刑法に触れる行為をしても、精神障害などの事由により『ものごとの是非善悪を判断する能力』が全くない場合は、『心神喪失者』として処罰されない。
責任の問えないような人間に、免許証を与えることの是非は取り締まれないのか。重大事故を起こしても刑事罰を受けないことに違和感を覚えるが、「年齢だけを指標に運転者を一律に取り扱うことは出来ない」という。日本の法律は「責任主義」が前提だから責任能力に問題がある人を、通常人と同様に処罰できない。高齢者による交通事故が問題だが解決法は?
少子高齢化・老々介護などの事情から、高齢者がハンドルを握る必要は益々増えてくる。過疎地での交通手段の確保も深刻な問題だ。今後、年を追うごとに「認知症ドライバー」による重大事故の発生が増加の傾向にある。「心神喪失」による不起訴も増える。社会全体が抱えるリスクやダメージをどうするか。「従来型対策」にはすぐに限界が訪れるのではないか。