平成23年1月10日(No5135) 『担雪埋井』『三風五雨』
『担雪埋井』『三風五雨』
名古屋の畏友・塚本恵昭さんは、毎月『暁鐘』と題したA4版2~4頁の新聞を毎月発行されている。記事の内容は教育学者・森信三先生の箴言を分かりやすく解説した一文(今号は『生きる論理』)、寺田一清先生の800字寄稿(今号は『全一学の要諦』)。ほかに、塚本さんの人生観の披瀝、和歌、近況報告などでまとめてある。初心から七年目に入り77号に。
最近は篆刻の「方寸の芸術」に魅了された由、今回は一寸五分の見事な作品が二点掲載してあった。城山三郎著『嬉しゅうて、そして…』から二つの言葉を刻まれた。
『担雪埋井』。「人の努力というものは、井戸の中へ雪を放りこんで埋めるようなものだ。そんなものをいくら運んでも溶けてしまって、井戸はちっとも埋まらない。でも、それが人生だ。人生とはそういう姿をしたものだ」。それが分かっていても、せっせと汗を流す姿は美しい。結果を追い求めるのではなく、プロセスを丁寧する生き方を大切にしたいものだ。
『三風五雨』。「人生を十日と考えたら、三日は風が吹いて五日は雨、晴れの日はせいぜい二日ぐらいだ。なんとも清々しく感じられる。人生なんて風が吹き荒れて当たり前、雨が降って当然。そう思っていれば、新しい世界に入ってもびくともしない。晴れた日はたった二日しかないと思えば、大切にするし、辛い苦しいと嘆くこともない。平気、平気」。
幸不幸は誰のせいでもない、わが心のうちにあると思えば、すべて自分次第。幸はいつでも手の届く中にある。