平成23年5月21日(No5266) 自前の「知」
自前の「知」
今に始まったことではないが、菅直人や取り巻きの政治家たちの卑しさ、厚顔さ、軽口などには辟易している。とりわけ東日本大震災への対応振りは、ここまで堕ちたかと思うほど薄汚い。最近では菅首相、枝野官房長官、海江田経産相、岡田幹事長などがテレビに出るとスイッチを切る。どうせ口から出任せの根拠のない話だから、聞かなくても損はない。
俳優やタレントの好感度ナンバーワンを問われれば、躊躇なく児玉清さんの名前を上げていた。その児玉さんが16日、胃がんのため亡くなられた。著名人でも人間だから、いつの日か黄泉の国へ旅立つ。いつもなら「まだ若いのに…」とか「残念だ」などと人並みに冥福を祈るのだが、児玉さんの訃報は違った。兄弟を失ったほどのショックを受けた。
2月下旬に体調不良を訴え検査で胃がんが見つかった。3月30日に入院して治療を受けていたが、先週末、容態が急変したと報じられた。手術を受けたとは一行も書いてない。近代医学では胃がんの手術成功率は高く、5年後生存率も年を追って急上昇している。それなのに何故? と思うが手遅れだったのだろう。定期検診は受けておられなかったのか。
「アタック25」のファンだったが、書評家として著名だったとは知らなかった。及ぶべくもないが、テレビの印象では温厚、篤実、知的、ダンディなど、熟年が望むすべてを身に付けていた。驚くほどの読書家で「翻訳が間に合わなければ原書で読む」ほどの「自前の知」の持ち主だったという。人を幸せにする笑顔は、政治家たちが持ち得ぬ宝物だった。