平成29年1月31日(№7230) 「菜根譚」のことば
「菜根譚」のことば
フォーラム新聞一面の下欄に長い間「論語」を紹介してきたが、ぼつぼつ短い言葉がタネ切れになった。次号から「人生を豊かにする『菜根譚』」を紹介したい。訳すまでもなく著者守屋洋先生により易しく解説してあるので助かる。本書は分かりやすく言葉を八つに分類してまとめてあるので、引用する人間には助かる。「論語」はファンが多かった。期待大!
第一章・人間関係を良好にするための作法。第二章・どんな場所にいても幸福は手に入る。第三章・心を強くして生きる。第四章・人生を豊かにするために。第五章・心穏やかに、前向きに。第六章・人の上に立つものの心得。第七章・曇りのない目でものごとを見よ。第八章・とらわれない、わずらわされない。いずれの章も20~30の箴言で纏められている。
「菜根譚」は儒教、道教と、仏教の教えを融合したところに特徴があり、そこから独特の味わいが醸し出されている。悠々自適の心境を語りながら、必ずしも高名富貴を否定しない。また、厳しい現実を生きる処世の道を説きながら、こころの救済にも多くの言葉をついやしている。隠士の心境に共鳴しながら、実社会に立つエリートの心得を説くことも忘れない。
「菜根譚」という題名の由来であるが、中国の汪信民のことばに「人常に菜根を噛みえば、即ち百事なすべし」とあるのに基づいている。「菜根」とは粗末な食事のことで、そういう苦しい境遇に耐えた者だけが大事を成し遂げることが出来るという意を寓したものだという。「譚」は談と同じ意味である。
出来るだけ短くまとめ、分かりやすい解説を付して届けたい。