平成29年1月20日(№7219) 「真実の後」
「真実の後」
2016年の流行語大賞で年間大賞に選ばれたのは広島カープの「神ってる」。鈴木外野手の二試合連続の劇的ホームランを緒方監督が呟いたものだ。一方イギリスの「World 0f theYear 2016」の流行語大賞は「Post-truth」が選ばれた。直訳すれば「ポスト真実」。Postとは「~の後」と言う意味なので「真実の後」という意味になる。世界の動向を表す。
「Post-truth」の意味をオックスフォードの辞書で引くと「客観的な事実が重視されず、感情的な訴えが政治手的に影響を与える状況のこと」とある。真実や事実よりも個人の信念や感情が優先されてしまい、政治的な決定がされていく状況と言える。これを後押しするのが「衆愚」。したがって「Post-Truth」では社会的手抜き、無責任な状況が生まれる。
「自分だけが極論を主張する候補に投票したって、まさかあの候補は当選しないだろう」。うっぷん晴らしの積りの投票がその候補を当選させてしまう。トランプ大統領当選というのはその一例ではないか。これからアメリカがどのように変貌するのか分からないが、大統領就任式を直前にして過半数を超える不支持があるのは異例であり、百を超える反対デモは。
フェイスブックなど見ていると、正しい意見が誤った方向に導かれるような錯覚を起こす。自分がいま取り組んでいることが正しいのかどうかにも疑念が起きる。世の中は便利だけはよくなった。その分だけ考えなくなり、自分の正しさもあいまいになってくる。こういう時代だからこそリアルな人と触れ合う機会を多く持ちたいもの。そうやって視野を広げる。