平成28年6月13日(№7018) 天に唾する
天に唾する
都議会で自民党の都議が「舛添要一39の毒舌」(平成22年発行)を紹介しながら、「今の態度と正反対」「悪い冗談としか思えない」と皮肉った。公私のお金の違いはあるが、私の人生を振り返っても舛添さんを笑えない言動が多々あった。晩年こそ公私のけじめはキチンとつけていたが、領収書さえあれば企業活動の費用とし会計係へ提出していた。
都議会で舛添知事が批判されている事柄は、身に覚えのあることばかりだ。お金に公私の区別はあるが、大抵の企業経営者は同じ生き方をしている。会議では格好のいいことを言い、研修では口先だけのいいことを喋ってきた。何か問題があれば社員やお客様の責任にしてきた。自分はいつも正義の味方で、よくも40年もの間社長の椅子に座り続けたものだ。
平成11年4月、初めて都知事に立候補した時は「都庁の無駄遣いを全部切り詰める。自分の身を正した上で」と意気込 んだ。当時は50歳、「若手論客」「気鋭の国際政治学者」の地位を確立させていた。このときは落選した。政治哲学はいろんな場面で披瀝しているが、厚労相時代に「横領をやった連中は牢屋に入ってもらう」と厳しい姿勢も打ち出していた。
22年2月に出した「内閣総理大臣―その力量と資質の見分け方」では「政治の世界において金を使うことはそれ自体が悪ではない。政治によって蓄財し、それを私利私欲のために使うから悪なのである」。正に舛添語録の通り。テレビでいい恰好をし、本に偉そうなことを書いた。それがブーメランのように舞い戻ってわが身を突き刺している。口は災いのもと。