平成23年9月9日(No5377) 掃除の会のささやかなご縁

掃除の会のささやかなご縁

「奈良掃除に学ぶ会」の交流会で同席した生駒市の東尚子さんから、美しい文字の書簡と季刊誌「歌い継ごう日本の童謡」が届いた。ささやかなご縁であったが、いつものようにご縁はがきを書いたのがきっかけとなった。東さんは童謡の伝道師として全国を回っている。詳しいことはまだ分からないが、交流が深まればいろいろなことが見えてくるだろう。

 

1998年の夏、韓国の慶州にある「ナザレ園」を訪問したことがある。国籍のない在韓日本女性の収容施設である。ナザレ園は韓国の篤志家によって開設され、当時は永住帰国を願う日本人女性の一時的な寮であった。詳しい事情は分からないが、結果として日本に帰れない百数十名の日本女性が暮らしていた。大半が80歳を超える高齢者で言葉を失っていた。

 

驚いたことに言葉を失った人も、なぜか日本の童謡は声を出して歌える。滞在時間のすべてを彼女たちと童謡を歌うことに費やした。言葉を失った人たちが、なぜか声を出して歌える。涙を流しながら童謡の価値に感動した日を思い出す。毎月発行している「地域版・ちょっととーく」に「後世に歌い継ぎたい童謡・唱歌」を掲載するきっかけになった。

 

長距離運転をするときは、童謡・唱歌・叙情歌を精いっぱいの声を出して歌っている。「竹の子学園」でも子どもたちと合唱する。CDやDVDもたくさん持っている。東さんの童謡コンサートの全国行脚に感動しながら、不思議なご縁の綾取りを実感している。地域のお年寄りの暮らしに、童謡や唱歌を役立てる方法はないか、いま真剣に考えている。

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