平成23年11月25日(No5454)  商いは七・五・三

商いは七・五・三

巖手屋煎餅は全国的な知名度を持つ。副社長の小松遊平さんから毎月「おかげさま」と題したタブロイド版2㌻の広報紙が届けられる。一面に掲載された記事がとても印象に残った。先年亡くなられた創業者であるお母さんの言葉「商いは七・五・三だよ」が印象的だった。お客様の有り難さ、売ることの大変さを自ら体験された貴重なお話だ。

 

「よく売れたときでも七分止り、どんなに悪くても三分まで頑張れ、丁度いいのは五だよ。頭を下げ『まだだ、まだだ』と思って一歩一歩登れ。ラクしてふんぞり返っているときはもう降っている時だよ」と。創業者は10歳の頃から姉と束ね売り(布地の切り売り)を、13歳から野菜や果物を載せてリヤカー引きの行商を6年。それから下駄、そして煎餅へ。

 

創業者の言葉が家訓となり、それを守り通した後継者が現在の繁栄をもたらした。山だけの波もない、底だけの波もない。底が深ければ山が高い。最悪の次は必ず上昇する。最上の次は必ず落ちる。辛いとき投げ出すなという励ましのことばに聞こえる。困難はいつまでも続かない。ところがいつまでも続くように錯覚して投げ出す人は多い。

 

どん底でなければ得られないものもたくさんある。どん底のときにこそ人生の師が得られる。どん底のときは慌てず、焦らず、丁寧に過ごす、波を壊さないで耐え忍ぶのが妙法と教えている。汗と涙の中から搾り出した創業者のことば、重いが真理である。どん底の谷が深いほど、次は必ず高い波になることを経験されているそうだ。「謙虚」と「忍耐」はセット。

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