平成24年1月2日(No5492) 年頭所感
年頭所感
野田佳彦首相が辰年の始めに当たり、恒例の年頭所感を発表した。「財政規律を維持し『国家の信用』を守ることは、今を生きる私たちが、未来の世代から託された責任だ」と強調し、実現に強い意欲を見せた。さらに「不断の歳出削減と税外収入の確保に全力で取り組む方針」を示し、国家公務員給与削減法案の成立や、国会議員定数の削減に力こぶを入れる」。
主党内には消費税の増税を柱とする一体改革案に慎重論や反対論が多いことを念頭に「『何かに挑戦することによるリスク』を恐れるより、『何もしないことのリスク』を恐れなければならない。山積する課題に正面から取り組み、成果を上げていくことが、国難のただ中に生きる日本人が果たすべき歴史的使命だ」と理解を求めた。まことに力強い言葉である。
年頭の所感であればこんなものかもしれないが、できればもう少し具体的に述べてもらいたかった。要約すれば「わが身を削らないで、もの言わぬ国民に負担を求めたい。歳出の削減はぼつぼつ出来るところからやる」いうように聞こえる。財政の一体改革といえば聞こえはよいが、民主党の税制調査会で首相が強調したのは、消費税アップの具体策のみである。
民主党税制調査会の「税制抜本改革」の骨子に「私たち政治家が、議員定数削減や公務員総人件費削減など自ら身を切る改革を実施した上で、税制抜本改革による消費税引き上げをすべきである」と明記してある。つまり、身を切らなければ増税しないと言っている。間もなく始まる通常国会でどんな論議が展開されるのか、見ものである。