平成24年2月16日(№5537) やる気を引き出す
やる気を引き出す
論語の衛霊公篇に「いかに、いかにと言わざる者は、われいかんともするなきのみ」がある。「どうしたらいいか、どうしたらいいかと自分から問いかけるような者でなければ、私の方から、どうこうしてやることは出来ない」。教育・学習の基本とも言える。孔子の教育方針はこうした考え方で一貫していた。側からお膳立てしすぎると「やる気」が出てこない。
とりわけ企業の人材育成では、「お膳立て」が過ぎるように思う。自分では注意しているつもりでも、問い掛けながらも答えが出なければ正答を出してしまう。それでは受ける方は分かったつもりになって実践には結びつかない。動物を訓練するように、強制によって習慣付けることは可能だ。条件反射を利用することも出来る。しかし、それにも限界がある。
同じ論語の述而篇に「墳せずんば啓せず、悱せずんば発せず」がある。「心がいっぱいになって噴出すぐらいの熱意を持っていなければ、指導してやらない。言いたいのに表現のすべを知らず、いらいらしているぐらいでなければ教えてやらない」。「啓」も「発」も開くと言う意味がある。苦しみ、悩み、求める気持ちを持っていてこそ、扉を開く効果かある。
研修において聞かれて答えられないようではいけない。さりとて時間の制約があるから、待ち続けることは出来ない。社長に某コンサルタントの高額な研修を受けてもらっているが、早速効果があったようで社員との新しい関係が始まっている。全体研修と方向性は同じだから、論語に叶った社員は成長するに違いない。考えを話すことは大切な武器である。